湖城の窓から「羊の価格下落の原因は?」

最近になって盛り返していますが、長期に渡り下落が続いたオーストラリアの羊の価格。業界からは連邦政府の生体羊の海運による輸出の禁止方針が、価格の下げ圧力になっているという声が出ています。

これに対し農業資源経済・科学局の代表グリーンビル博士は上院の公聴会で「(価格下落は)輸出禁止ではなく、市場の供給過剰が原因」と述べました。市場分析会社も同様の見方を示し、メカルドのアナリストは「生体羊の禁輸は西オーストラリア州の人々に影響を与えるが、現在の価格を左右している要素ではない」としています。

これに納得できないのが業界団体の家畜輸出事業団。サットン代表は「『輸出禁止は価格に影響していない』とは都合が良すぎる。産業が閉鎖される方向の中、市場の景況感は上昇するものではない」と述べ、「グリーンビル博士は禁止計画の生産者に対する影響を軽視している」と非難しました。

生体羊の海上輸出禁止が実行された場合、影響を受けた当事者らが政府を相手に集団訴訟に踏み切る可能性があるとみられています。

生体羊の海上輸出の廃止をいつ、どうやって実行するか政府に助言する独立パネルが昨日、ワット農相に最終報告書を提出しています。

過去の生体牛輸出禁止措置をめぐる集団訴訟に続き、連邦政府が再び法的リスクを負うことになりかねないこの問題、注目です。(編集長)

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