湖城の窓から「港湾混乱、いつまで?」

オーストラリアの海運労組(MUA)と港湾大手DPワールドの労使交渉が膠着している問題で、輸出入業界団体フレイト&トレード・アライアンス(FTA)の懸念が現実となったようです。

1月に運航を予定していた中国からオーストラリア向けのコンテナ船の5分の1が、港湾の混乱を理由にキャンセルされたとみられています。

DPワールドはこれまで、労使紛争により1週間当たり8,400万豪ドル(1豪ドル=約97円)相当の経済損失が発生したと訴えていました。一方で紛争仲裁を拒否したバーク労使関係相は、この数字を根拠がないと否定。しかし上院審問に呼ばれた同社幹部は、試算には自信があると反論し改めて根拠を提示するとしました。

上院審問では、DPワールドがシドニー港での料金を過去5年間で300%値上げしたことや、ドバイを拠点とする同社の利益率が25%にも及ぶことが明らかにされました。さらに同社はオーストラリアで法人税を過去8年間支払ったかという質問に明確に回答できませんでした。しかし同社は強気で、改めて労使関係法による仲裁メカニズムを要請しています。

DPワールドの賃金水準は、競合のパトリックに比べ17%低いとされています。これにもDPワールドは、自社の従業員の生産性が悪いためだと強硬です。

FTAは今回、懸念されるのは国際物流だと改めて強調しました。外国の海運会社はオーストラリアへのサービスの提供について検討を始めているとし、中国船のキャンセルは今後も継続すると警告しています。

今のところ、着地点が見える様相はありません。企業の利益追求と労働者の権利保護要求の間で、消費者の負担だけが増えていきます。(編集長)

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