湖城の窓から「もめる農業界」

オーストラリアの農業界がもめています。一つはバイオセキュリティー保護賦課金(BPL)について。BPL制度は、バイセキュリティーを強化する費用を農林水産業界などが生産高に応じて負担する仕組みです。先月の政府案の発表時点で農業界は反発し、今週の上院決議では緑の党が反対に回り、法案成立の見通しが立たなくなりました。
家畜の伝染病やミツバチのダニ寄生など、ここ1年でもバイオセキュリティーの問題が複数回発生しました。オーストラリアの食糧供給にとって、蔑ろにできないと農業界も認識しています。だからこそ、農業界(や物流業界)だけが負担することに異議を唱えている形です。与党労働党は今後どう巻き返すのか、注目が集まります。
もう一つのもめごとは、生体羊の海上輸出の禁止です。ワット農相が2028年の禁止を発表した数日後の朝食会で、同相のスピーチの真っ最中に、反発する農業9団体のトップたちが会場を後にしました。彼らは政府の決定はイデオロギー的で、農業の現実的な姿を無視していると主張しています。
全国農業者連盟のヨシンケ代表は「農相が農業界に背を向けたように、我々も農相に背を向けた」と述べました。
生体家畜の輸出に関しては、かつてギラード労働党政権が11年に生体牛の禁輸を強行しています。それに対し畜産業界が態度を硬化させ、わずか4週間後に政府は禁止を解除しています。
現労働党政権は同じ轍を踏むのか。こちらも今後の展開に注目です。(編集長)

公式SNSをフォロー