第18回 秋の夜長のお供に、ビートルートの大人サラダ

南半球では秋に突入しました。これから日が短くなり、夜が長くなりますね。パースでは長い夜を楽しむ選択枝が日本ほど多くない(?)のもあり、週末の夜などにオーストラリア産ワインを飲みながら、いつもよりのんびりと夕食を食べるのが、わが家のささやかな息抜きです。

そのワインのお供として、最近お気に入りなのが、「ビートルート」のサラダです。今回はこのビートルートと、フェタチーズを使った大人サラダを紹介します。このビートルート、私はパースに来るまで知りませんでした。日本ではビーツと呼ばれているようですね。印象に残っているのは、マクドナルドがオーストラリアで期間限定で発売した「オージーバーガー」のテレビ広告です。ビートルートが挟まっていて、バーガーをほおばった男性の白い服に赤いしみができるという内容。あの赤いかぶのようなものが、オーストラリアでは人気なのかと思いました。確かにこちらでは、日常的に売られていて、なじみのある食材といえます。

このビートルート、最初は鮮やかな赤色に驚きますが、食べてみると自然な甘さが魅力です。食感は確かにカブというか、根菜系なのですが、さつまいもやとうもろこしのようなやさしい甘さが口に広がります。こちらの感覚では、サラダに甘いオレンジやモモを普通に入れていますが、ビートルートもこの甘さのせいで、アクセントとしてさまざまな料理に取り入れられているのかもしれません。

ビートルートは生のまま食べられますので、細かく刻んでサラダに入れたり、ジュースにもできます。もちろん、ゆでる、蒸す、焼くなど加熱してから、サラダやサンドイッチに入れてもいいですね。甘さがあるためフルーツ感覚でビートルートを使うレシピも見掛けます。ヨーグルトに混ぜたり、チョコレートと合わせて焼き菓子に混ぜたりと、鮮やかな赤い色と一緒に楽しめそうですね。

どきっとする存在感がありますが、優しい味です

どきっとする存在感がありますが、優しい味です

■赤いスーパーフード

ビートルートは健康に良い食品としても知られています。特徴的な赤い色は、ベタニン(Betanin)と呼ばれる色素の一種で、着色料としても用いられているほど鮮やか。抗酸化物質を含むベタニンには、細胞の酸化を防ぐ作用があるそうです。さらに抗炎症作用や、デトックス作用、抗ガン作用もあるとされています。

さらに、抗酸化作用のあるβカロチンやビタミンC、細胞の再生産を促す葉酸、老廃物の排出を促すカリウムや水溶性食物繊維、造血作用を持つ鉄分、などを豊富に含むそうです。加えて、ビートルートに含まれる成分が、循環器系の機能を補助し、血圧を正常に保つ効果があることが分かっています。まさにスーパーフード。ぜひ毎日の食卓に取り入れたい野菜ですね。ビートルートは葉も食べられます。

■オーブンは楽ちん!

さて、このビートルートをフェタチーズと合わせた甘辛ミックスの大人サラダですが、火を通して柔らかくしたビートルートを、フェタチーズと合わせたものです。

ビートルートは洗って、アルミホイルで軽く包んでから200℃くらいのオーブンで1時間ほど焼きます。1時間というと面倒に感じてしまいますが、逆にオーブンに放り込んでしまえば後は放置して大丈夫。ゆでるよりも楽です。サラダ用の葉に、皮をむいて8~12等分にカットしたビートルートと、適当に刻んだフェタチーズを合わせれば完成。いろいろアレンジができますし、ワインのお供にピッタリです。作り方の手順やアレンジの方法はブログに載せています。

また、ビートルートを焼くのが面倒……という時には、特に冬におすすめのビートルートを使ったコールスローサラダ。こちらのレシピもブログで紹介しています。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。