第5回 米英とも違う!オーストラリアの卵の常識

パースで作る親子丼。レシピはブログで公開しています

 

海外でご法度とされるものに生卵があります。とはいえ、卵かけごはんや目玉焼き、温泉卵など、日本では生の卵をトロッとさせて食べるのが人気ですよね。オーストラリアでも生卵はご法度なのでしょうか。

まず、なぜ海外では生卵を食べられないかというと、サルモネラ菌に感染している可能性があるからです。先日見つけた記事では、米国と英国、そしてオーストラリアでの卵の扱い方の違いを取り上げていました。海外と一口に言っても、対策が違うようです。

米国では殻の外側がサルモネラ菌に感染している恐れがあるとの理由で、卵は包装される前に洗浄されますが、英国では逆に、洗浄することでサルモネラ菌が内部に浸透してしまう恐れがあるとして、洗浄はしません。保存方法も、米国では、洗浄により殻が弱くなるため、洗浄した卵は直ちに7℃以下の場所で保存しますが、英国では常温の棚に保管されるそうです。欧州連合(EU)の国では、雌鳥にサルモネラ菌を防ぐための予防接種をする農家が多いとか。

さて、オーストラリアでの卵のサルモネラ菌対策ですが、オーストラリア・ニュージーランド食品安全局(FSANZ)が管理する食品基準書の中に「提言」という形で記述があるそうです。しかし、国全体としての基準はなく、生産者に課される規制などは各州や準州が決めるそうです。

結局どうすればいいのという問いに対してFSANZは、「卵は洗わなければならない、そして卵が産まれるまでの間に卵の内側が汚染される確率はほぼないので、常温棚に保存可能。ただし、もし卵を長持ちさせたかったら、家に帰って冷蔵庫に入れた方がよい」としています。卵の内側が汚染される確率はほぼない、と自信満々に言い切ってますが、根拠はあるのでしょうか。なんともオーストラリアらしいですね。

さらにサルモネラ感染を防ぐための注意事項として、鶏のフンで汚れている卵やひびが入っている卵を使わないことなどを挙げています。私の見た限りパースでは、結構汚れがついている卵が普通に売られています。果たして洗ってるのか、ギモンです。

また、卵売場でパックの中を確認している人の姿をよく見かけます。最初は驚きましたが、自分も卵を買ってみて、割れているものが入っていることが多く、納得しました。今では私も、卵を買う時は必ずパックを開けて、割れている卵がないか確かめています。

料理に卵を使う際に私は、調理する直前に水で洗っていますが、お湯で洗うべきなのかもしれません。また、買ったばかりと言っても、こちらでは卵の賞味期限が日本に比べると異様に長く(1~2カ月)、店も毎日新鮮な卵を仕入れるという感じではありません。本当に新鮮な卵を食べたいときは、農場直販など、いつ産まれた卵かが分かるところで買うのがベストです。

そのような状況ですが、私はこちらの卵を使って黄身がゆるめの目玉焼きや、半熟ゆで卵などを作ることがあります。いつも利用する店で卵のストックが増えていたら、「あ、仕入れたんだな」と気づきますし、賞味期限を見て十分長かったら比較的新鮮な卵と判断しています。

トロッとした黄身、やっぱりおいしいですよね。

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。