湖城の窓から「濃淡」
オーストラリアと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉が再開される見通しです。両者の交渉は2023年まで5年間にわたって継続されましたが、オーストラリアが望む高レベルの市場開放などが実現できず決裂していました。
トランプ関税の影響による不確実性の高まりが再開の背景ですが、欧州議会議員がオーストラリアとのFTA交渉再開を求める声明を発表し、駐豪EU大使も交渉の早期再開を強く訴えるなど、EU側の働きかけが強いようです。
米政権が発表していた当初の関税は、オーストラリアへは10%、EUは20%でした。その後9日にホワイトハウスが発表した停止措置は、「報復措置をとっていない国に、相互関税の一時停止を認める」という内容です。報復措置を発表していたEUについて、欧州の報道は「対応は現時点では不明」としています。
前回の交渉決裂直後、オーストラリアの酪農家を代表する団体デアリー・ファーマーズの会長(当時)で交渉団の一員でもあったグラディガウ氏は筆者に対し、「EUは何も提供せず、自由貿易ではなく一方的にオーストラリア側に義務を課す協定案だった」と批判。交渉決裂を歓迎していました。
再開要請を受けた連邦政府のファレル貿易相は「EU側の実質的な譲歩がなければ合意には至らない」と強気の姿勢でいます。
二転三転するトランプ関税、間接的影響にも濃淡が出ています。(編集長)
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