郷に従え

中華まんじゅうが旨い有名店があると聞き、シドニー西郊のオーバーンを訪れた。この街はオーストラリア最大と言われるモスクがあることでも知られる。要塞のような巨大ドームと鉛筆型の塔がそびえ立ち、周辺地域はイスラム独特の雰囲気が濃い。道ゆく人もムスリムばかりで、店の看板にもアラビア語が並ぶ。ドームに寄ると天井はモザイクで壮麗に飾られ、1日5回の礼拝時間が貼りだされている。1回目のお祈りは午前5時32分と夜明け前だ。

まんじゅうを売る中華料理店はトルコ料理店に囲まれている。当然ハラールで、あんまん、肉まん、野菜まんなど取り揃えている。店の主人はなぜかキムチまんを勧めてきた。多文化が混沌とする。

2個で5ドル(1豪ドル=約84円)。全種類購入した。濃い街の雰囲気に案外旨いB級グルメの期待が高まったが、どれも残念な味。皮はスカスカで具に味がない。考えてみるとこの街なら当然ケバブにすべきだった。あえて言うなら「珍品に旨いものなし」か。(尋助)

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