小さな農業の行方

日本の一部スーパーには、農家の名前と顔写真が張られた野菜が売られている。農家は収穫した農産物を自分でパックし、スーパーに持ち込むと、売り上げの一部がスーパーから農家に振り込まれ、その日いくら売れたか、農家のパソコンに逐一メールで送られる仕組みだ。このため高齢化した農家も、日々の売り上げが楽しみでやりがいにつながっているようだ。

一方、先日パース近郊の農場を取材した際に実感したのは、同じ農業でも日本とオーストラリアでは全然違う産業のようだということだった。車でどこまで行っても続く小麦畑は広大すぎて、日本の農産物のように「農家が丹精込めて育てた」という形容があまり似合わない。またあまりに大きすぎて、農家が高齢者ではなかなか難しいのではないか。スーパーとの直接的なつながりもない。だが、農業の効率さでは日本をはるかにしのぐ。

果たして、小さな農業は今後衰退していくのか。心配しながら見守っている。(西嵐)

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