編集後記・湖城の窓から- vol.441

【編集後記】

前を走る車のナンバープレートに「日本NSW」と書かれていました。番号部分も車××××となっていて、日本からの輸入車だと思いますが、乗り手の愛着が感じられました。その車を見つけた家人は、2日前に15 年以上乗った愛車を売ったばかりで、悲しそうに微笑んでいました。(花坊)

前を歩く人のスーツの襟が反り返っていました。彼に教えてあげようか、それともこちらが手を伸ばして勝手に直してあげようかと歩きながら逡巡していると、彼は雑踏の中に消えてしまいました。その人を見つけた家人は、スーツをクリーニングに出したばかりで、タグを取るのを忘れないようにしなきゃと微笑んでいました。(西嵐)

前を行く人の持つ傘の先がこちらを向いていました。危ないのでわざとぶつかって痛がるというのはよくある話。前を行く人の引くスーツケースが、その人の視界に入ってない時も、危なっかしくて蹴っ飛ばしてやりたくなります。そういう筆者を見つけた家人は、共感できないと言うばかりで、今更共感を求めてないこちらは静かに微笑んでいました。(尋助)

【湖城の窓から】

オーストラリアでは現在、牛の価格が高騰し過去最高水準に達しています。これまでは高い飼育コストから牛を手放す農家が続出したものの、2月の雨で状況は一転、減少した牛を増やすため需要が増加、価格も急上昇しています。

とはいえこの値上がりは以前から想定されていたこと。弊誌でも2018年から「干ばつが収まった時点で牛群の再構築が課題になる」と報じていますし、食肉家畜生産者事業団をはじめさまざまな団体が報告していました。

であれば、業界のどこかに大儲けをしている会社があるのではないでしょうか。主要指標EYCIの昨年の平均は480豪ドルでした。それが現在は760豪ドルです。底を打ったのは380豪ドルだったので干ばつ時に買い付けて、今手放せば2倍の価格になったわけです。年度末の決算で大幅増益の畜産企業が出るかも。ただ、なんと言っても相手は動物。値上がりを待っている間においしい肉質の時期を過ぎてしまった、なんてこともあり得ますが。(ウェルス編集長)

【ウェルスのトリビア ~今週の紙面から~】

元外務・貿易省次官でもあるクイーンズランド大学総長が、貿易リスク分散のために注目すべきと主張している市場は、日本、インドともう一つ、どこでしょうか?(答えはこちら