オセアニア農業の歩み「インドのジレンマ?」

今週はトップ記事で、ニュージーランド(NZ)とインドの自由貿易協定(FTA)の署名を取り上げました。恩恵が特定の産業に偏る点や、投資条項を巡る懸念から、NZの連立与党内でも評価が分かれましたが、長年高関税に阻まれてきた巨大市場に足掛かりを築いた意義は小さくありません。ワインで最大150%、農産品でも30-50%台の関税が課されていたことを踏まえれば、インド市場の参入障壁の高さは明らかです。

一方で、酪農分野の恩恵は限定的で、国内業界からは失望の声も上がりました。ただ、インドでは農家の政治的影響力が強く、モディ政権にとっても支持基盤を揺るがす選択は難しいと言えます。酪農はインドの経済だけでなく、農村社会や食文化にも深く根差しており、保護の姿勢が強く表れたのは想定内でした。

ただ、インド国内では、ラージャスターン州などで乳製品の安全性に関する懸念が指摘されています。中間層が急拡大する中、今後は価格だけでなく、安全性や品質を重視する消費者も増えるとみられます。今回のFTAで主要乳製品の市場開放は見送られましたが、NZ産乳製品への潜在需要が消えたわけではありません。

高付加価値品や乳製品原料で、将来的な市場拡大につなげられるかが今後の焦点になると考えます。(本田歩)

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ウェルス編集部

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