オセアニア農業の歩み「在庫放出なるか?」
今週のトップ記事では、オーストラリア産小麦の減産見通しについて取り上げました。小麦は大麦やカノーラに比べて肥料価格の影響を受けやすい作物です。肥料価格の高騰に乾燥への警戒感が重なる中、生産者が小麦の作付面積を減らし、大麦やカノーラへ切り替える動きが広がるのは、合理的な選択といえます。
農業資材の高騰に直面する穀物生産者は、昨年は世界的な供給過剰による小麦価格の下落にも悩まされました。オーストラリアの多くの生産者は、キャッシュフロー悪化のリスクを取りながらも、収穫物を保管し、価格の上昇を待つ戦略を選びました。
こうした動きのあおりを受けたのが、東部州最大の穀物取扱会社グレインコープです。流通量の減少により、同社の今年度上半期の税引き後純利益(NPAT)は前年同期比で91%減少しました。株価も急落し、スパーウェイ最高経営責任者は「市場の評価は短期的すぎる」と苦言を呈しています。
確かに長期的に見れば、販売控えの流れは変わる可能性があります。主要輸出国の減産懸念を背景に、国際小麦価格には今後、上昇圧力がかかるとみられているためです。価格が上昇に転じれば、生産者が在庫を放出し、グレインコープの取扱量が回復するシナリオも現実味を帯びてきます。
今後、小麦価格の上昇が生産者の採算改善やグレインコープの業績回復につながるのか、価格動向を引き続き注視していきます。(本田歩)
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