湖城の窓から 「乳製品は必要不可欠?」

インフレの加速に伴って消費者の財布の紐が固くなり、需要が減少して売り上げが減る。こうした流れが米国の酪農セクターで発生しています。オーストラリアの乳業団体、酪農製品連盟(ADPF)によると、米国の牛乳の生産量は徐々に回復している一方で、生活コストの上昇によって米国内の需要は低下。今後さらなる悪化があれば、チーズや脱脂粉乳のメーカーは海外に目を向けざるを得ず、輸出市場の競争が過熱する可能性があるといいます。

一方オーストラリアでは、乳製品に対する需要は堅調です。米調査会社ニールセンによれば、今年5月までの3カ月間で、食品小売とフードサービスにおける乳製品の売上高はそれぞれ6%と15%増加しました。ニュージーランド(NZ)でも、乳業最大手のフォンテラは、「乳製品は必要不可欠な食品」と指摘し、同社が運営する競売システム「グローバル・デアリー・トレード」で続落しても、「パニックになる必要はない」と強気の姿勢を見せています。

さて、オーストラリアでは今年第2四半期(4〜6月)の消費者物価指数(CPI)で、食料品は前年比5.9%上昇しました。NZでも6月の食品価格指数は6.6%上昇し、どちらも大幅な値上がりで緩和する気配は見えません。

こうした食費の上昇が続く中、オーストラリアやNZの消費者は今後も乳製品を買い続けるのか、それとも米国の通った道をたどるのか、予断は許しません。

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