第7回 丸太切りの美女も、イースターショーにいざ!
23日まで開催されたシドニー・ロイヤル・イースターショーに出掛けた。毎年90万人近くが訪れるというビッグイベントで、第1回の開催は1823年となかなか古い。日本では勝海舟が生まれた年だという。東京ディズニーランドなどと比べると刺激に欠けるかもしれないが、都会の人にとっては田舎の生活や農業に触れる良いチャンス、農家にとっても日ごろの努力の成果を発表する晴れやかな舞台でもある。それもそのはず。ショーを主催するのは、農業の素晴らしさをたたえ、それを後世に伝えることを目的に設立された非営利団体、ニューサウスウェールズ(NSW)州王室農業協会(RAS)だ。
乗り物アトラクションや料理ショー、福袋に相当するショーバッグなどの人気に押されがちだが、ショーの開催中には約5,000の分野で約3万人が参加し、農産物の品質や技術の優劣を競う「大会」が開かれる。素人目にも面白いのは100年以上の歴史がある「丸太切り」大会だ。タイミングが合って観戦したのはオーストラリアとニュージーランド(NZ)の女性選手による団体戦。異なる方式での丸太切りをリレー方式でつなぎ、早く終えたチームが勝つ。NZは最初の選手が出遅れ、オーストラリアが大きくリードしていたが、NZの最後の選手が追い上げ、勝敗は数秒差と小差だった。体格が大きければいいというわけでもなく、脅威の追い上げを見せたNZの選手は一見して丸太切りの達人とは思えない、ロングヘアの細身の美女だった。
■農家の人と会話
農家の人と話す機会がない、という人におススメなのは「地域別展示(District Exhibits)」だ。NSW州とクイーンズランド州南東部が5つの農業地域に分かれ、農産物を使って地元をアピールする展示を行う。
各展示では農家の人が何人か番をしながら農作物の販売もしており、気さくに話ができる。自分も50豪セントのリンゴを買ってその場で食べながら「すてきな展示ですね。このおいしいリンゴはなんという種類ですか」などと会話を楽しんだ。今年はモリー(Moree)などを含む地域ノーザン・ディストリクトが最優秀賞を獲得。同地域は穀物、綿花、熱帯果実、羊毛の生産で知られる。
ほかの地域の展示も特徴があり面白く、西部ウエスターン・ディストリクトは干ばつや山火事被害を逆手に取り「What's your fire plan?(防火計画はできてる?)」とのプレートを掲げるセンスに驚かされた。来年も楽しみだ。
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