第10回 人気急上昇の豪州産ワイン(続)

オーストラリア産食品の専門店。約70種のワインが並ぶ■専門店がオープン

上海市中心部からほど離れた住宅街の一角に昨年末、ワインをメーンに取り扱うオーストラリアの食品専門店がひっそりとオープンした。

店内にはワイン約70種のほか、クッキーやキャンディー、ジャム、パスタソースなどが並ぶ。全面がガラスで太陽の光が降り注ぐ店内にはイートインスペースも設置してあり、たまには昼間からきりりと冷えた白ワインを飲むのもいい。午後は11時半~0時ごろまで開いており、ワインを飲む客でにぎわうことも多いという。

同店はオーストラリア政府のサポートを受けており、同国の食品が中国でどの程度受け入れられるかの市場調査も兼ねる。店員は「特に宣伝はしていない。品質の良さは口にしてもらえば分かるので、家賃の高い市中心部に店舗を構える必要はなかった」と明かす。

ワインの販売価格は100~1,000人民元(1人民元=約17円)で、中でも売れ筋は200~300元程度のワイン。プレゼント用、家飲み用のいずれとしてもよく売れるという。

同店は上海1号店で、このほか北京市に2店、四川省に1店をそれぞれ構える。店員は、「中国でもオーストラリアワインの知名度は上がりつつある」と語り、「今後は上海の店舗も増えていくはず」と自信を示す。

■コンビニでも販売

オーストラリア産ワインはここ数年、上海の地元スーパーやコンビニでもよく見かけるようになった。小規模のスーパーでも、数少ないラインアップの中、フランス産、米国産、チリ産などと並んでオーストラリア産を置く店舗も少なくない。中国市場でポピュラーになってきたことの表れとみられる。

上海市内でバーを経営する男性は「個人的にはオーストラリアワインが一番好き」だという。まろやかな味わいで、好みに合うのだとか。

ただ彼の店で取り扱っているのは、フランス産とチリ産。この男性によると「オーストラリ産は他国産と比べ、仕入れ値が2~3割高め」だそうで、店での取り扱いに至っていない。中国向けにワインを輸出する生産国上位の中で、5位に入るオーストラリア産ワインは、その上位5位の中でも1本当たりの平均輸入価格が最も高い。

■価格がネック?

「オーストラリア産ワインは大好き」と話す中華料理店を経営する男性も、彼の店ではオーストラリア産ワインを仕入れておらず、代わりに、客受けがいいという理由で、フランス産を置いている。全てフランスのあるワイナリーからセカンド・ブランドを仕入れており、価格競争力が高いことも大きい。

この男性はほとんど毎日ワインを口にするほどのワイン好き。仕入れの関係でフランス産を飲むことが多いが、オーストラリア産も好んで飲むといい、「同程度の価格帯であれば、圧倒的にオーストラリアワインがおいしい」と断言する。

仲間内でも、オーストラリア産はコストパフォーマンスが非常に高く、安いワインでも味がしっかりしているとの認識が一般的だという。

 

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