湖城の窓から「真実」

オーストラリアの現地紙では、4月に入って日本の飲料大手がオーストラリアのビタミン剤大手ブラックモアズの買収に関心を示しているとの報道が相次ぎました。かねてから買収の標的となっていたブラックモアズ。買収にこぎつけたのはキリンホールディングスだったことが明らかになりました。

買収額は1株95豪ドル(1豪ドル=約90円)と、ブラックモアズの株価の26日終値に対して24%のプレミアムがついています。買収の発表を受け、ブラックモアズの株価は20%以上も上昇しました。

キリンは、主力のビール事業を通して獲得した発酵などのバイオテクノロジー技術を有しています。この技術を活用して、健康関連の分野を強化を模索していたもよう。健康関連事業での売上高を30年までに21年比で約5倍以上にするという目標を掲げており、約2,000億円の資金を準備して買収の機会を探していたと言います。

キリンは、2009年にビールブランド「XXXX(フォーエックス)」などで有名なオーストラリア醸造ライオンを、21年にはクラフトビールのストーン&ウッドも傘下を入れました。キリンのセグメント別売上収益において、オセアニア酒類事業が占める割合は21/22年度に約12%となっています。これに今回の買収も加わり、ビール分野から健康食品分野まで事業の裾野が大きく広がりました。キリンにとってオーストラリアの重要性はますます高まりそうです。(岩田直子・編集長代理)

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