湖城の窓から「数千年に1度か」

昨年初頭にインドネシアで発見された牛の感染症ランピースキン病(LSD)は、媒介する虫がオーストラリアの北部に侵入する可能性があることで、危機感が急速に高まりました。昨年9月には、その後の5年間で大規模感染が発生する可能性は28%とする試算も発表されました。連邦政府は今年3月、インドネシアにワクチンを100万本送ることを発表するなど、LSDの侵入への警戒は弱まっていません。

しかしこのほど、そのリスクは従来考えられていたよりも低いとするモデリング予想が発表されました。オーストラリアの疫学会社オースベットは、LSDの伝染には30-50匹の虫が1頭の牛に噛みつくことが必要で、国内の大規模感染は数百年から数千年に1度の割合とする見解を示しました。

一方、政府が今月9日に発表した新年度予算案では、24年からすべての第1次生産者を対象にしたバイオセキュリティー保護税の徴収開始が発表され、波紋を広げています。

オーストラリアのバイオセキュリティーのリスクはLSDだけでないとはいえ、大きな要素となっていたのは確かです。農業省は今後1年かけて農業界と新税の協議を行うとしていますが、まずはリスク算定は正確なのかという声が上がってきそうな気がします。(編集長)

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ウェルス編集部