湖城の窓から「我慢比べ」
国際的な乳製品価格の上昇により、オーストラリアとニュージーランド(NZ)の生産者乳価の動向が注目されています。
生産者乳価とは、乳業メーカーが酪農家から牛乳を買い取る金額です。メーカーは市場価格や自社の利益率、設備の稼働率など諸々を勘案して額を決定します。
今週のフラッシュニュースにもある通り、4日に開催された乳製品の競売では、前回から3.7%上昇と大幅な値上がりとなり、1トン当たり4,296米ドルとなりました。過去半年間で12回の競売の内、値上がりは8回。上昇基調にあるのは明白です。
この価格動向で、NZではすでに最大手のフォンテラが乳価の引き上げを表明し、10NZドル(約9豪ドル)に到達しました。
一方でオーストラリアは腰が重く、未だ8豪ドル台。とうとう酪農家団体がしびれを切らして、「オーストラリアでも10豪ドルの大台を越えるべき」と表明しました。その団体は「メーカーは競売が不調な時期はそれを理由に渋っていたのに、競売が好転した途端、口をつぐむ」と批判しています。
折しも今年は総選挙。政治問題化を示唆する酪農家団体も出てきました。
メーカーは仕入れ値であるこの価格をできるだけ低く抑えたいのが本音でしょう。しかし、供給を確保するためには、競争力のある価格を提示する必要もあります。
状況的には我慢比べもそろそろ終盤になってきています。(編集長)
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