湖城の窓から 修理する権利
持続可能な社会の実現や再生・再利用、循環型社会に対する意識の高まりから、世界中で「修理する権利」に注目が集まっています。
欧州では今年6月、電子機器のバッテリーを交換可能にすることが義務付けられ、米ニューヨーク州では7月に「Fair Repair Act(公正修理法)」が施行されました。
この傾向はオーストラリアの農業界にも波及し、関係団体は「修理する権利」の確保に向け農機具メーカーと交渉に入っていると言われます。ただ実際には、オーストラリアの生産性委員会は2021年に、当時のモリソン政権に対し、22年末までに農機の修理供給義務を導入するよう勧告していました。進展のなかった交渉が動いたのは、今年1月に米最大の農業生産者団体アメリカン・ファーム・ビューロー連合(AFBF)と農機メーカー大手のジョン・ディアが、農家の「修理する権利」に合意したことが背景です。
オーストラリア・トラクター・機械設備協会(TMA)のノースオーバー代表はこのほど、「米国の合意をたたき台に使い、交渉は順調だ」とコメントしました。
ところで筆者は学生時代、愛車の修理は油まみれになりながら自分でやっていました。しかし電子機器が増えた現在はとても無理です。農業界も同様で、動くコンピューターと化したスマート農機が増えた現在、「修理する権利」で利用者に最初に提供されるのは、故障原因を突き止める特殊な電子機器と診断ソフトウエアだそうです。(編集長)
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