木材投資に機運、豪政府は3億$拠出戦略
世界的にESG(環境・社会・企業統治)投資への関心が高まる中、木材価格の上昇とあいまって、木材資産が魅力的な投資先となっている――。投資運用会社の英グレシャム・ハウスがこのほど発表した報告書の中で指摘している。一方、オーストラリアでは、持続可能な林業および木材加工産業の構築を目指すイニシアチブに、計3億豪ドル(1豪ドル=約97円)が投じられる。ウッドセントラルが伝えた。
グレシャム・ハウスは同報告書の中で、木材の需給状況を分析し、3つのシナリオを提示。最も楽観的なシナリオで試算した場合でも、供給量は現行の1.1倍に増えるにとどまり、需要の予測成長率である1.5-1.8倍を大幅に下回る見込みだとした。
同社はまた、グリーン資産への投資を志向する投資家が増えるに伴い、市場流動性が向上すると予想しており、木材資産については、資産分散の有効な手段として機能するとしている。
同社は、伝統的な木材収入に加え、木材資産が「再生可能エネルギー事業、エコツーリズム、カーボンクレジット(炭素クレジット)など、多様な収入源から収益を生むようになっている」と説明。この傾向は世界各国が低炭素経済への移行を進める中で、今後も継続するとの見方を示した。
これに関連しては、オーストラリアの労働党政権が先に、「木材繊維戦略(Timber Fibre Strategy)」を発表している。
国内および国際市場で需要のある製品を生産する、持続可能で世界トップクラスの林業および木材加工産業を構築することを目的としたもので、連邦・州政府のほか、業界が変革を推進するための6つの優先分野と128の行動を定義する。
同戦略の策定に当たっては計3億豪ドルが拠出され、林業・木材製品の研究プログラム「オーストラリアン・フォレスト・アンド・ウッド・イノベーションズ(AFWI)」に1億豪ドル、木材加工技術の導入促進に1億豪ドル、植林地の拡大に7,300万豪ドル、林業従事者の研修に1,000万豪ドルが投じられる。
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