湖城の窓から「温暖化の影響 」
オーストラリアは全国的に雨模様の天気が続いています。豪気象庁によると、特に東南部の広い範囲で春までに例年の降水量を超える可能性は70%以上。特に国内有数の農業生産地であるマレーダーリング地域は、過去に雨が多かった年の上位 20%に入る可能性が、例年よりも 3.5 倍高いと発表しています。
極端に強い「負のダイポールモード現象」が発生するおそれが高いことがその背景です。インド洋の南東部の海面水温が高くなり西部で低くなる現象ですが、これにより東インド洋の対流が活発化し、オーストラリア東部の雨が多くなります。今回は2016年以来の強さになると予想されていますが、16年は冬作物の生産量が5,000万トンを超える大豊作を記録しました。
ただ、今回問題とされているのはすでに大量の雨が降り、もうダムや貯水池が満杯になっていることです。380万メガリットル(ML)の貯水量を誇るダートマウスダムは現在 95%の貯水率で、系列のヒュームダムも 94%です。同水系には 20/21 年度に 300 万MLの水が放出されましたが、21/22 年度は実に 914 万MLも放出 されています。気象庁は、流域の水を吸収する能力が低下し、洪水のリスクが強まっていると警告しています。
振りかえってみると16 年の後は厳しい干ばつが3年続き、農業界全体が苦しみました。豪雨や猛暑を極端現象と呼びますが、その長期化や高頻度化も地球温暖化の影響の一つと言われています。(編集長)
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