ことの葉「善意」

気温が40度に達した夜、寝苦しくてエアコンを付けっぱなしで床に付いた。が、翌朝は20度まで急降下。震えながら目覚め、案の定風邪を引いた。

オーストラリアで病に伏せると、立ちはだかるのが「病人食問題」だ。喉が腫れ、乾燥で空咳が止まらない。おかゆや果実入りゼリーが食べたいのに、当地の小売店では見かけない。自分で作る気力もなく、欧米人の家人に説明するのも億劫だ。丸投げした結果、出てきたのは彼の病人食「ジャム・トースト」で、口の中の水分を奪われ危うく窒息しかけた。

体調が悪い時ほど、人は「慣れ親しんだ味」を欲する。彼にとってはそれが善意のトーストなのだ。以前、彼が胃腸を壊した時に「素うどん」を作ろうとしたら「そんな複雑なものじゃなくて、ピザが食べたい」と言われたことを思い出した。消化に悪いと拒み、良かれと思ってうどんを押し付けたことを静かに懺悔した。(猫山)

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ウェルス編集部

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