湖城の窓から「苦しむオーストラリアの養鶏農家」
動物福祉団体のオーストラリア動物連盟(AAA)が、鶏の飼育環境基準の引き上げを求めるキャンペーンを開始しました。業界の力関係の不均衡に苦しんでいる最中に、鳥インフルエンザによる打撃を食らった養鶏農家をさらに追い込むものとして、業界は大反発しています。
AAAがニュージーランドの動物保護団体と協力して発表した要求内容には、飼育密度の緩和や成長の遅い品種への切り替え、解体処分方式の変更などが含まれています。
これに対し、オーストラリア鶏肉連盟の代表は「攻撃的で、日和見的なキャンペーンだ」と批判。「活動するにも時と場合がある。養鶏農家が困っている最中に蹴とばすようなものだ」と述べています。
東部州の16カ所の養鶏場で発見された低病原性鳥インフルエンザは、6月末からは新たな発生はありませんが、養鶏農家には警戒が求められています。供給は一部で混乱が続き、購入制限を解除していない小売店も残っています。
また、鶏肉処理業界はインガムとバイアダの2社が市場シェアの7割を占め競争が低下。養鶏農家は事業継続のために制限的な契約を結ばざるを得ず、廃業する農家も多い状況といわれています。
オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)はこれまでに、市場の透明化には新たな規制が必要との勧告を出しています。
ワット農相の次の仕事は鶏肉業界の環境整備という声もありましたが、同氏は内閣改造で農業界から離れます。新たに就任予定のコリンズ新農相には、就任早々大仕事が待っているかもしれません。(編集長)
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