湖城の窓から「年に1度の……」
オーストラリアの農業界にとって重要な、年に1度の「あれ」が近づいてきました。「オータム・ブレイク(Autumn Break)」のことです。
オーストラリアで夏が終わった後に降る、1週間で25~30ミリ以上のまとまった雨のことで、伝統的に4月25日のアンザック・デーを目安とします。冬の始まりと冬作物のシーズン開始を告げる雨になります。
不耕起栽培が進むオーストラリアでは、播種した土壌にオータム・ブレイクが到来することで発芽が促されます。オータム・ブレイクが十分ならバイオマス生産量が増加し、穀物収穫量の増加が見込めるため穀物生産者は心待ちにし、家畜の牧草・飼料の生産にも影響することから農業界全体が関心を寄せています。
そんな中、豪気象庁(BOM)が今週、オーストラリアに乾燥をもたらすエルニーニョ現象の終息を宣言しました。一方でやや気がかりなのは、インド洋側で「正のダイポールモード現象」が発生しつつあることです。この現象が発生するとインド洋の西側で雨雲が発生し、オーストラリア側は乾燥することになります。ダイポールモードを最初に発見した日本の海洋研究開発機構は「北半球の春に発達し、夏まで持続する」との見通しを示しました。
BOMの25日までの予報を見ると、東部は雨模様ですが西部は乾燥が続きそうです。
あと1週間、空を見上げてやきもきする人はいつもより多くなることでしょう。(編集長)
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