湖城の窓から「バーチャル・フェンス」
アグリテック分野で、家畜の首輪を用いたバーチャル(仮想)・フェンスの話を最近聞かないと思っていました。バーチャル・フェンスとは衛星利用測位システム(GPS)を組み込んだ首輪を牛に装着し、牛が侵入できない区域に入った時に、音と電気的な刺激で家畜の移動を管理する技術です。農家は牛を追い立てることなく、スマホで牛を牛舎などに誘導することが可能です。
人手不足が深刻でコストも急騰している現在、省力化につながる技術と思うのですが、調べてみると牛に電気的な刺激を与えることが動物福祉上、問題視されていることがわかりました。ビクトリア州とニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州では禁止が決定しています。
この首輪を開発した企業eシェパードは、顧客にも政府に規則を変更するよう働きかけることを依頼していますが、動物福祉法の導入を公約にした労働党政権が受け入れるとは考えにくいでしょう。
そもそも最近では、アグリテックの導入目的の一つに、動物福祉の向上も含まれるようになりました。痛みや恐怖で人間に従わせようとするコンセプトが問題と言えそうです。(編集長)
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