湖城の窓から「環境選挙」
ブレグジットや米トランプ政権の樹立、19年時のオーストラリア総選挙など、事前の世論調査が当てにならないことは周知の事実ですが、今回の総選挙は、市場予想通りの結果となりました。
今回の労働党の勝因は、と言うより保守連合の敗因は、気候変動に対する有権者の意識の変化を読み切れなかったことが挙げられるでしょう。農業界を見ても、昨年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の前には、国民党のジョイス党首が「家畜が排出するメタンを削減する方法は、ライフルを手に取り牛を撃つことだ」とジョーク混じりに現実的ではないと批判しましたが、今や農業界でも環境負荷の低減や持続可能性の追求は必須事項となっています。
単独過半数を占めることが濃厚な労働党は、2030年の温室効果ガス削減目標を対05年比で43%削減するとしています。ただこの数字、前回19年の選挙で同党が掲げた目標値を2ポイント引き下げています。それでも保守連合の目標はわずか35%ですから、十分アピールできた訳です。もっとも、そうした労働党よりも、環境問題をもっと真剣に考える候補者に政治を託したいと考えた有権者も多く、それが独立系無所属が躍進した理由でしょう。
対中国問題やインフレ、新型コロナの後始末など、さまざまな争点がありましたが、環境がそれらを覆い隠した総選挙だったと言えそうです。(編集長)
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