湖城の窓から「アルディの秘訣」
オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)が今週から、食品小売業界の調査の一環として公聴会を始めました。秘密主義を貫くアルディも対象になりました。
明らかになったアルディの安さの秘密は◆商品数の制限◆プライベートブランド(PB)の多用◆厳選した出店地◆セールの否定――の4つです。
スーパー大手2社の商品点数が2万点を超す一方、アルディはわずか1,800点に限定し、既存ブランドを模倣したPB商品を、利益率の高いエリアだけで最大効率で売ることに集中します。顧客が他社で買い物することを否定せず、意図的に従業員数を抑え、店舗網を拡大する野望もありません。効率が悪いタスマニア州や北部準州には展開せず、オンライン販売も行いません。
政界では巨大なウールワースやコールズの強制的な分割も議論されています。しかしアルディは、大手の分割は競争促進の逆効果となるとしています。そもそもオーストラリアはサプライヤーが少ないことが問題で、地理的条件も悪いと同社は指摘。分割による規模の縮小は効率の悪化につながり、損益分岐点に達するには品揃えや営業地域、サービスレベルを縮小するか、値上げするしか選択肢がないといいます。つまり業界モデルの抜本的転換が必要だという指摘です。
企業分割が新たな競争を生むというのは幻想で、単なるポピュリズム的解決策だという批判が込められています。(編集長)
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