第408回 ピックスのピーナツバター
今回はニュージーランド(NZ)南島のネルソンを拠点とするピックス(Pic's)のピーナツバターを取り上げます。
この商品の特徴は、原材料が「オレイン酸」を多く含む「ハイオレイック」品種のピーナッツと、NZの海水塩だけというこだわりです。オレイン酸は抗酸化作用に優れ、生活習慣病の予防や悪玉コレステロール値を下げるといいます。
創業者のピック氏は2005年にスーパーで買ったピーナツバターに砂糖が入っていることに憤慨し、自作を決めたとか。当初はコンクリート・ミキサーでピーナツを焙煎しました。07年にネルソンの週末のマーケットに出店したところ好評で、周囲から工場を設立を勧められます。当時の生産ペースは1週間で1,000個。08年に最初の従業員を迎え、初めてフォークリフトをリースしました。
その後は順調に拡大し、会計大手デロイトの急成長製造業を表彰するファスト50にも選ばれています。今ではNZ全土だけでなく、オーストラリアの2大スーパーや、英国や中国でも販売されています。
設立当初から環境保護にも注力し、現在は排出量と吸収量が均等なカーボンゼロを達成しています。
ところで、ハイオレイックのピーナツは品種が確立してから日も浅く、世界的も生産量はまだわずか。同社はオーストラリアとブラジルから輸入していますが、将来的には国産を目指し、21年にNZ政府第1次産業省の支援を受けて、国内栽培プロジェクトを開始しています。(尋助)
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