第11回 豪州で使わずいつ使う?太陽熱を賢く利用
オーストラリアは、暦の上では6月から冬。暖房費として電気代のかさむ季節だ。その中でも、湯を沸かすために使われる電力の割合は大きく、地方自治体の中には、家計そして環境にも優しい「太陽熱」を上手に利用しようという動きが出てきている。ノースシドニーで行われたワークショップに参加した。
「ソーラー・ホットウオーター」と題されたワークショップが催されたのは、ボールズヘッドにあるコールローダー(Coal Loader)・センター・フォー・サステイナビリティー。使われなくなった石炭の積み出し施設を大幅に改装し、環境と共生する「持続可能な生活」の普及を目的に設立された。地域住民が野菜などを栽培するコミュニティーガーデンもあり、定期的にイベントが行われている。ワークショップの参加者には環境保護というよりも、値上がりする一方の電気代をどう節約するかに関心が向いている人もいた。
■「非効率」の代表
筆者が住むアパートの湯は、各戸に設置された旧式の「電気釜」が供給する。湯を使わなくても釜に保存されたお湯の温度を保つため、定期的に自動で沸かし直すタイプの電気給湯器だ。これは講師が胸を張って断言する「highly insufficient(非常に非効率的)」な代物で、なんと冬季の電力消費量の3~4割を占めているという。ちなみに、直ちにできる節電対策としては、沸かし直しの回数を減らすために電気釜全体を保温シートで覆う、または沸かし直しを必要なときに手動(マニュアル)で行うことがある。さらに、沸かし直しを電気料金の安くなるオフピーク時間に限定して行う上級技もある。
■パネルとチューブ
総称して「ソーラー・パネル」と呼ばれるが、太陽熱で発電するものと、湯を沸かすものとは全く別物だ。湯を沸かすものにはさらにパネル状と筒(チューブ)状の装置があり、主流となりつつある筒状のものはパネルほど場所をとらず、アパートの1人暮らしであれば4~5本で足りるという。アパートや賃貸暮らしでも、管理組織の了承があればパネルや筒の設置は可能で、実際に設置件数も増えている。
いざ設置してみようと思っても、業者や商品の多さに消費者はとまどいがちだ。講師が一番大事と力説したのは、自分が必要とする湯(または発電量)を知り、適したサイズのものを購入すること、そして、説明書や契約書を比較する際に、電力「量」の単位である「kWh」(キロワット・アワー)で比べることの2点だ。信頼できる業者と出会うのが一番だが、自分を守るためにも知っておいたほうが良いという。
■便利サイトを活用
自分の家の電力消費量を知るのにはメーターを確認するのが一番だが、電気料金の比較や各地域での平均的な電気使用量を検索できる連邦政府の情報サイト「エナジー・メード・イージー」(www.energymadeeasy.gov.au)が便利だ。節電情報も載っている。また、環境省の情報サイト「クライメートチェンジ」(www.climatechange.gov.au)も有用だが、昨年政権が変わってからは、情報が流動的だ。
ソーラーパネルの設置に支給される連邦政府の補助金もアボット政権下で今後廃止される可能性が大きい。ガス価格も大幅値上げが見込まれており、ガス給湯器のある家庭も光熱費負担が増えることになる。太陽熱の利用を検討するのに絶好の、そして最後のチャンスとなるかも。
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