第8回 世に「捨てる」ものはありません!
「捨てるという概念を捨てよう」をスローガンに黒字経営を続け、リサイクル業界の「グーグル」と評される米国のテラサイクル(TerraCycle)。創立者のトム・ザッキー氏が20歳のころ、米プリンストン大学在学中に有機栽培(オーガニック)液肥を再利用のソーダ瓶に入れて販売したことから始まり、肥料販売、スポンサーのついたゴミ回収プログラムと事業を拡大している。オーストラリアとニュージーランド(NZ)支部でコミュニケーションズマネジャーを務めるオッシラ・サナポンサコーンさんに話を聞いた。
■「廃材再生、身近に感じた」
「テラサイクルではまず、1年間のボランティアとして働きました」とオッシラさん。タイ人の父親とフィリピン人の母親を持ち、オーストラリアで生まれ育った。大学ではメディアコミュニケーションズを学び、在学中には複数の助成金を獲得してプロジェクトを遂行した優等生だ。テラサイクルに入社するまでは、オーストラリア連邦議会議員の下で働いていた。
テラサイクルの魅力を聞くと、ベンチャー企業ならではの勢いや明るい雰囲気、そして同じ情熱を持つ人に囲まれていることだという。
文章を書くことが好きで、会社のために質の良いコンテンツを作成し、発信するという今の仕事にやりがいを感じるそうだ。昨年は休暇で英国のオフィスを訪問し、多くの人と意見交換できたことも実りある経験になったという。
オッシラさんは子どものころから環境問題に関心があった。母親の母国で何度も訪問しているフィリピンでは廃材を使ったリサイクル品が広く普及していたこともあり、廃材の再利用という事業内容が身近に感じられたという。ザッキー氏の著書「Revolution in a Bottle(瓶の中の革命)」にも啓発され、現在同僚のアナさんに誘われる形でテラサイクルの門をたたいた。
■次は日本訪問?
オーストラリアでは支部の立ち上げ早々、大手ブランドからの支援を受けて4つの廃棄物再生事業がスタートするなど、「とても順調」(オッシラさん)な滑り出し。事業はそれぞれ、特定の目的を持ったグループを意味する「ブリゲード(brigade)」と呼ばれる。再生計画の対象となるのは、簡易エスプレッソマシン「ネスプレッソ」のコーヒーカプセルの空き容器、「コルゲート」の使用済み歯ブラシと歯磨き粉チューブ、「ネイチャーズ・オーガニックス」などの空き容器、たばこの吸い殻。NZでは菓子会社モンデリーズの支援を得て「菓子の包み紙ブリゲード」を展開している。
本拠地の米国では回収した廃材を加工して販売し、売り上げを収入源の1つとしているが、オーストラリアでは現在加工業務を行わず、回収品は加工拠点まで輸送している。今後の目標としては、オーストラリアではブランドパートナーを増やすこと、そしてNZではコルゲートとネスプレッソのブリゲードを始めることだという。
実は日本でも先月から「吸い殻ブリゲード」が始まっている。小学校で少し日本語を習ったけど、忘れてしまったというオッシラさん。「日本は絶対に行きたい国。(日本の)オフィスも訪問できるかも」だそうだ。
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