オセアニア農業の歩み「大手小売りのジレンマ」

今週のトップ記事では、オーストラリアの食品サプライチェーン全体に広がるコスト圧力を取り上げました。大手小売りのウールワースは、牛乳生産者からの仕入れ価格改定に際し、価格転嫁ではなく、自社で負担を引き受けるという厳しい判断を下しました。

その背景には、小売各社が激しい価格競争にさらされている現実があります。同社が過去に実施した調査では、日常の食料品購入において約8割の消費者が価格を最優先すると回答しました。競争が一段と激しくなる中、他社に先んじて値上げを受け入れれば、顧客が競合へ流れるリスクも高まります。

さらに、ウールワースにとっては業績面からの制約もあります。同社は2年間にわたり、成長率でライバルのコールズに後れを取ってきましたが、2025/26年度上半期(7-12月)には市場予想を上回る結果を確保し、コールズに差をつけました。この回復の背景には、生活費高騰を踏まえた大規模な値下げ戦略があり、特に若い家族層を中心に来店頻度の向上につながりました。こうした成果を踏まえると、ここで売上高の勢いを失速させる判断は取りにくく、投資家からの期待も意識せざるを得ません。月末の25/26年度第3四半期(1-3月)の決算発表には、注目が集まっています。(本田歩)

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ウェルス編集部

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