湖城の窓から「そろそろ限界?」

オーストラリア連邦政府が今年3月に発表した新年度予算案は、農業界にとって大きな失望となりました。農業関連の支出は通商イベントや害虫対策、食糧安全保障戦略など限定的で、生産性向上のための地方インフラ整備やスマート農業支援、といった業界の喫緊の要望は置き去りにされました。「地方は見捨てられた」と全国農業者連盟(NFF)は怒りをあらわにする一方で、選挙支援を盾に政党に圧力をかけてきました。

総選挙まであと半月となった現在、ようやく地方にも一筋の光が灯りました。野党保守連合(自由党・国民党)は今回、地方インフラや道路に10億豪ドルを投じると公約し、さらに20億豪ドルの「地域未来基金」を創設する構想を発表。NFFは「具体性と継続性が試される」と冷静に見つつ、「やっと地方が認められた」と評価しています。

しかし、一方の与党労働党は今のところ、生活コスト軽減や住宅支援、製造業振興などに注力しています。都市部の有権者を重視する姿勢を見せ、世論調査ではそんな与党が優勢です。労働党が過半数を維持する可能性も出てきています。

これまで洪水にも干ばつにも山火事にも耐えてきた農業界ですが、今度は予算不足にも耐えざるを得なくなるかもしれません。(編集長)

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