地声人語・湖城の窓から- vol.550

【地声人語】

コンビーフといえば缶詰のことだと思っていました。英語では塩漬けの牛肉(corned beef)という意味で、豪州ではシルバーサイドと呼ばれる部位をじっくり煮込んだ手の込んだ料理を指すそうです。食通のオージーにコンビーフを食べたことがあるか聞かれ、「缶詰のやつね、おいしいよね!」と答えてしまい、白い目でみられた3連休でした。(岩下)

コンブチャといえば昆布茶だと思っていました。しかし豪州では、乳酸菌入りのプロバイオティック炭酸飲料のことで、昆布を煮出したお茶とは似ても似つかぬ存在です。コンブチャを飲んでいると言っていた友人に、「ヘンなのに興味を示すんだな」と苦笑していまい、自分も飲んでみたら開いた口がふさがらなかったのは3年前の出来事です。(西嵐)

カイラーティーといえばお茶の一種だと思っていました。ある日スペルを見ると「Karate」で、実は空手であることが判明。オージー・アクセントで言われると、何だか別の物になってしまった気がします。息子にカイラーティーを知ってるか聞かれ、「飲んだことない」と答えてしまい、本当に日本人かと疑われたのは3カ月前のことでした。(尋助)

【湖城の窓から】

「食料品の値上がり考」

オーストラリアの今の話題を2つ挙げるとすれば、インフレと来月に予定されている総選挙でしょう。消費者は日々の食料費の上昇にため息をつき、価格上昇を緩和する政党はどちらなのか吟味しています。

しかし実際に、食料品の値上がりはそれほど急激ではないという見方が、クイーンズランド工科大学の専門家によって示されました。政府統計局がこのほど発表した消費者物価指数(CPI)によると、食料品の価格は前年比4.3%増でした。住宅や家具、教育費などに比べると上昇率は低く、肥料の225%増やディーゼル燃料の66%増などとの比較では、わずかと言って良いほどです。

専門家は、食料品の購入は頻度が高く、価格が上昇するとすぐに認識され、裁量的支出の切り詰めにつながるといいます。一方で保険や木材など、購入頻度の低い物の価格は、食品よりも高い上昇率でも、コストとして受け入れられがちと説明します。

また、食料品のサプライチェーンの上流にいる農家は、生産コストの急激な上昇にもかかわらず、加工業者や小売業者の圧迫で、市場価格に関与できないプライステーカーの立場に追いやられています。全国農業者連盟は選挙で争っている与野党に、農業生産者の競争の場を公平にする競争法の改正を求めました。

生産者が食品生産コストに見合う公正な取り分を得られるよう要請しているのですが、このことも、今回の選挙で注目したい点です。(編集長)

【ウェルスのトリビア 〜今週の紙面から〜】

食肉家畜生産者事業団(MLA)が新たに創設した生体家畜輸出価格指標(LEPI)は、ダーウィンからどの国へ輸出される牛の価格の指標でしょうか?(答えは記事中に)