第16回 Taylors Wines

前回のコラムは「白ワインの表現について」でした。今回は赤ワインの表現についておさらいしてみましょう。赤ワインは特に「ボディー」についても同時に表現されます。若々しく軽やかでジューシーなライトボディーは、ピノ・ノワールが代表的です。ミディアムボディーからフルボディーになると重厚でどっしりとしたオーストラリアの典型的なシラーズやカベルネ・ソービニョンが当てはまります。色合いもライトボディとフルボディーでは濃さが全く異なり、ライトボディーは透き通るようなルビー色なのに比べ、フルボディーの中でも特に濃いものは、イカスミにも例えられるほど濃い色をしています。

テイスティングの際には「アロマ」「酸味の強さ」「フルーティー、甘味の強さ」「ボディー」「タンニンの強さ」「余韻の長さ」の順に確認しながらどんなワインかを紐解いていきますが、アロマの表現も赤ワインは面白いものがたくさんあります。

【赤い果実(Berry、Cherry)】

フルーティーな赤ワインの典型的な表現ですが、赤い果実は種類がたくさんあります。ライトボディーの少し酸味があるものであれば、ラズベリー、木苺、さくらんぼが合っています。一方コクがあり、芳醇なワインであればブラックチェリー、プラム、ブラックベリーが加わります。

【ナッツ、種(Nutty)】

白ワインと同様にナッツの味わいはリッチなワインの表現に合っています。それに加えて、赤ワイン特有のタンニンの表現にもなります。アーモンドの皮の風味を思い出してください。少し苦くて渋味がありますが、タンニンの味わいと似ています。ほのかな苦味や渋味はワインの個性と存在感を引き出すことには欠かせないものです。

【チョコレート(chocolaty)】

チョコレートの例えは、ナッツに似ていて、カカオのコクとほのかな苦味、また舌に残る感覚がタンニンと似ています。

【ウッド、オーク(Woody、Oaky)】

白ワインのシャルドネがそうであったように、赤ワインはオーク樽での熟成でオークの香りがつきます。オーク樽の熟成は経費のかかる工程でもあります。オーク樽は新品で200リットルのものが約300豪ドル(約3万1,500円)します。これをいくつも用意するだけでも大変ですが、いつまでも使い続けられるものではありません。新品のオーク樽は豊かな風味をつけるので、高級ワイン向けに利用され、古くなってくると中古市場で再度売買されます。

【香辛料(Spicy、Peppery)】

シラーズに代表されるように、黒胡椒などのスパイスも赤ワインから発見できます。このようにスパイシーなワインには同じスパイスを効かせた赤肉の料理がよく合います。

【土や埃(Earthy、Dusty)】

アロマの表現は幅広く、普段は口にしないような例えも出てきます。フルボディーのドライな赤ワインはよくEarthyと表現されています。土や埃っぽい素朴な味わいは、ワインに深みを与えます。その他にも、濡れた犬やガソリン、モップなどユニークな表現があります。

最後に、白ワインも赤ワインもテイスティング後の余韻の長さに注目してみてください。ほのかな香りが口腔と鼻腔に20秒くらい残るのはエレガントで上質なワインです。最近見つけた余韻の長い赤ワインに、TaylorsのJaramanカベルネ・ソービニョンがありました。上品で洗礼されていますが価格は中間層で親しみやすいワインです。

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