新・たえこのワイン 第49回 「Yarra Yering」
Yarra Yering Vineyards
http://yarrayering.com/wine/
4 Briarty Road Gruyere, Victoria, Australia, 3770
Tel: +61 (3) 5964 9267
オーストラリアの書店には、必ずと言っていいほどワイン本のコーナーが設けられており、その人気がうかがえます。しかも、ビンテージを意識して毎年発行しているものが安定して販売数を伸ばしているようです。定番は、オーストラリアを代表するワイン評論家ジェームス・ハリデー氏の「オーストラリアン・ワイン・コンパニオン」ですが、私が個人的にお勧めしているのがマスター・オブ・ワイン(ワイン業界の最高峰の資格)のロバート・ゲデス氏の「Australian Wine Vintages」。コンパクトで重厚感のある金色の外観と、カラーで分かりやすい表示がポイントです。過去には日系の商社がこの本を顧客へのプレゼントにしていたとも聞いたことがあります。もしかすると読者のみなさんの会社にも1冊あるかもしれませんね。
さて、過去に購入したワイン本を何気なく眺めていたところ、思いがけず自宅にこっそりと隠していたワインが高評価を得ていたことを発見しました。ビクトリア州、ヤラバレーにあるYarra Yering の「Dry White No.1」と「Dry Red No.2」です。やはり良いワインは、正しい評価を得ているものだと納得しました。
【創業時から続くブドウの木】
Yarra Yeringは、1969年創業の小規模ブティックワイナリーで創業当時からのブドウから作る少量生産のプレミアムワインが国内のみならず国際的にも評価されています。創業当時と同じブドウの木から収穫されたブドウを使ったワインは「Carrodus」シリーズとして販売されます。「Carrodus」は創業者のBalley Carrodus博士からネーミングされています。古い樹木から収穫できるだけの量しか生産しないため、このシリーズは50ケースほどしか生産しないそうです。1本200豪ドル以上の超高級品ですので、出産祝いなど特別な贈答品として良いかもしれませんね。
【ブレンドワインの妙】
そして、比較的求めやすい価格でコレクションとしても楽しめる対象として作っているのが先に書いた「Dry White No.1」や「Dry Red No.2」です。これらは、ブレンドワインですが主要な品種を90%以上使い、微妙な調整のため他の品種を残りの10%に使っています。「Dry White No.1」はセミヨンベース、「Dry Red No.2」はシラーズベースです。セミヨンは、シャルドネとのブレンドと乳酸発酵の影響で複雑かつ長期保存を可能にしています。シラーズは、創業当時からあるシラーズの木から収穫したブドウを使い、2年近くもフレンチオークで発酵されているのでくっきりとしたオークの香りがあり、20年以上の長期保存に耐えられる品質となっています。ワイナリーで試飲した時は、果実感の中にオークの香りが際立っていたので、あと10年は保存しておきたいと思ったものです。
そのことを思い出しながら、「まだ開けてはならぬ」と自分に言い聞かせました。
エレガント ★★★★★
カジュアル ★☆☆☆☆
贈答向け ★★★★☆
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