第4回 まだまだ少ない牛肉消費

食の安全問題はここ数年、中国人にとって最大の関心事の一つだ。

2014年7月、米食品会社OSIグループの上海子会社である上海福喜食品が、複数のファストフードチェーンに賞味期限切れの冷凍肉を供給していたことが発覚した。期限切れの鶏肉や牛肉を加工し、チキンナゲットやハンバーガー用の肉を生産。期限表示の日付を記載し直した上で、中国の米マクドナルドやバーガーキング、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)、ピザハットなど大手外食産業に販売し、波紋を呼んだ。

供給先の外食チェーンは相次ぎ上海福喜食品からの仕入れを取りやめたほか、上海市内のマクドナルドでは複数の店舗が営業を停止した。ピザハットのメニューからは、問題となった牛肉を使った料理が消えるなど、業界全体に大きな被害を及ぼし、輸入肉に再び人々の注目が集まった。

■輸入可能な国は7カ国

牛肉に限れば、中国が輸入を許可している国は現時点で◆オーストラリア◆ニュージーランド(NZ)◆カナダ◆ウルグアイ◆アルゼンチン◆コスタリカ◆ブラジル─の7カ国。低価格牛肉を生産するブラジルと異なり、オーストラリアやカナダ、NZ産は高級牛肉がメーンだ。

ただ飲食店関係者の中には、オーストラリア産牛肉について「米国産には劣る」と指摘する声もある。上海市内で高級中華料理店を経営する女性は「米国産牛肉の方が味がいい」と話す。中国は、2000年初頭に牛海綿状脳症(BSE)の発生後に米国産牛肉の輸入を禁止し、現在に至るまで解禁していないことから、市場に出回っているのは密輸品であるのが現状だ。

同じく上海市内に数店舗を構えるイタリア料理店も「米国産牛肉が輸入できない状況下では、コストや味などの面からオーストラリア産を採用しているが、さらに良質の牛肉がないか探している」と明かす。一方、日本産牛肉は米国産同様にBSEの影響で輸入が許可されておらず、中国の飲食店での取り扱いは一般的ではない。さらに「日本産は『超高級品』」(飲食店関係者)と遠い存在。中国でのオーストラリア産牛肉の位置付けは「現在、正式に輸入できる牛肉としては高級品」というものだ。

■消費量は世界の5分の1

中国人の牛肉消費量は、ここ10年間の年間平均伸び幅が23.8%に達しており、肉類消費全体に占める割合も当初の5%から15%程度まで拡大しているとされる。それでも、中国人による牛肉の1人当たり平均消費量は年間4~5キログラムで、世界平均の5分の1程度にとどまるという。

中国では宗教的な問題で牛肉を食べない人がいるほか、一般家庭で食べる料理として浸透しているとは言えない現状もある。また中国人の友人の中には、「えとが牛だから、牛肉は食べない」などという人もいる。

オーストラリア肉類・牧畜業協会の関係者は「中国人は牛肉に対する理解が不十分だ」と不満をもらす。「食肉解体業者に肉の切り方、消費者に高級牛肉の食し方を教えている」と明かすほど、牛肉は中国人にとってまだなじみの薄い食材でもある。

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