イカ談義、そして
息子の友だち家族の新年パーティーに招かれた。なかに両親がクロアチア移民の男性がいた。彼は数年に1度、家族でクロアチアを訪れ、アドリア海に面した町で過ごすそうだ。魚介料理が有名で、詰め物をしたイカのグリルが好物だという。スマホで撮った写真を見せてもらい、「あ、イカ寿司だ!」となった。イカの空洞を見ると何かを詰めてみたくなるのは世界共通らしい。
オーストラリアで生まれ育ったのにもかかわらず、クロアチア人としてのアイデンティティーが強い彼は、オーストラリアのイカは硬くてまずいと言い出した。日本人としては同調するしかない。
イカ談義でひとしきり盛り上がった後、ワインの話を振られた。あいにく何年たってもワインの知識が増えない自分は仕方なく、量販店でとにかく会員割引のワインを赤だろうが白だろうが構わず買う、それも割引率が一番高いものを選ぶ、と言った。彼の眼鏡の奥に軽蔑の色が浮かんだような気がした。(城一)
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