湖城の窓から 「逆転現象」
3年前のちょうどこの時期、新型コロナなど影も形も見えなかった頃ですが、日本各地のスーパーマーケットのバイヤーが、オーストラリアを訪問していました。彼らの目的は青果の生産者の農場を視察し、仕入れの商談をまとめることでした。同行取材をしたのですが、ある一人が「米国や台湾からタマネギを輸入したところカビがあったため、オーストラリアに仕入れ先を変更したい」と話していたことを覚えています。
商談は双方の価格の思惑が違いすぎ、結局まとまりませんでした。思い返してみると、その頃日本側はオーストラリア産品に安さを求め、一方のオーストラリア側は自国産物の品質に自信を付け、強気の姿勢を見せ始めていたように思います。
そして3年後、2週連続で日本から貿易を求め使節団がやって来ました。彼らはオーストラリアを仕入れ市場としては見ておらず、自国産物の販売市場として捉えています。オーストラリアではかつての「日本製品は質が良いが、高くて手が出ない」というイメージはなくなったように思います。
人口増加に支えられ、所得も伸びている活気ある国の購買力は、魅力的に映るのでしょう。もっとも、その購買力の何割かは、依然として中国人移民に支えられているかもしれませんが。(編集長)
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