湖城の窓から 「賃上げについて」
労働党政権が、7日までに労使裁定機関フェアワーク委員会(FWC)に最低賃金の引き上げについて見解を提出する見通しで、新政府の経済管理の試金石になるとされています。
農業界は投入コストの上昇に四苦八苦している状況で、最低賃金が上昇すると一部の青果生産者が限界に追いやられるという見方があります。業界団体オースベジは、「最低賃金の引き上げは、サプライチェーンを通して連鎖反応をもたらす」と指摘し、「ピッカーやパッカー、運転手らの給与が5%引き上げられたら、全体のコストは5%以上上昇することになる」と主張しています。
すでに青果業界では生産コストが35-45%上昇したとされる中、農家はコストを転嫁できず販売価格の値上げはわずか7%にとどまっています。
アルバニージー新首相は選挙期間中、インフレに見合うように最低賃金の5.1%の引き上げを支持するとしていました。
賃金上昇と物価とインフレの関係について、ニューサウスウェールズ州立大学の准教授は「賃金と物価のスパイラルは、賃金の上昇がインフレを引き起こす時に発生し、インフレはさらに賃金と物価のスパイラルにつながる」と説明し、「(仮説上は)収束しない」と述べています。卵が先か鶏が先か、という話かもしれません。ただ最終的には、賃金の引き上げが人手不足の解消につながり、生産量が増えることで価格が下がりインフレは発生せず、という流れを作ることが重要なのでしょう。今のところ業界側はその見込みはなしとしているようです。(編集長)
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