第214回 優先順位記載方式という破壊力

オーストラリア連邦総選挙で労働党が圧勝したことで、保守連合(自由党・国民党)が完膚なきまでに壊滅させられる実態を垣間見ている。前回3年前の総選挙でモリソン首相(当時)率いる保守連合が大敗した際も、保守連合の地方組織の崩壊を痛感したものだが、今回は何しろ、国民党が自由党との連立を解消する危機にあるというから、壊滅さの度合いは前回の比ではない。欧州全土で見られるように、オーストラリアが誇ってきた二大政党制が崩壊した形だ。

実は選挙に関するこの原稿を書いている最中に、国民党と自由党のトラブルを報じるニュースが入って大いに驚いたものだが、その解説は来週以降にして、今回は筆者が注目していた当初のテーマに集中したい。4月24日付の当欄(第211回「オーストラリアの選挙はどうなっているのか(その3)」)で取り上げた、オーストラリアの選挙制度「優先順位記載方式」のインパクトについてだ。【NNAオーストラリア・西原哲也】

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