ことの葉「インド米を食べないインド人」

本物を知ることは、幸福であると共に恐ろしくもある。筆者のインド人パートナーは、日本の高級旅館で窯炊きのご飯を食べてから、独身時代にオーストラリアで食べていた比較的安価なインド米は食べられなくなってしまった。

その後我が家で食べる米は、必ず新潟産のコシヒカリになった。炊き立てのご飯はご馳走だと、おかずがなくとも大口を空けて白米を頬張るパートナーの姿は日本人そのもの。筆者はかつて「Medium Grain White Rice」という見かけが日本米に似ても味の劣る安い豪米を食べていたのだが、彼の姿を見て、米代の節約は正式に終了した。

一方で、我が家の狭いアパートの一角にはインド米が山積みになっている。もったいない精神旺盛の彼が処理に困っているのだ。無駄にするのなら、彼の特製インドカレーと食べれば良いのではと思ったが、日本米がカレーの味を引きたてると日本人みたいなことを言われ、拒否された。(鮎子)

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