湖城の窓から「実証の時」
ニュージーランド(NZ)の最大企業フォンテラが各国で展開する消費者事業を売却することについては、地元から「金の卵を生むガチョウ(利益を生み続けるもの)を手放すことになる」という批判も出ています。ある有力酪農家は、「消費者事業が魅力的ならば、なぜ自ら保有しないのか。決定は近視眼的だ」という意見を農業誌に投稿しています。一方で、「NZ人は牛乳生産は得意だが、消費者に販売する巨大なビジネスを経営する感覚が足りない」という意見もあります。
フォンテラは5年前に2期連続で赤字決算を計上しました。その際に銀行筋は「フォンテラにはこれまで、戦略を遂行したり利益の期待に応えた実績がない」と、その実行能力に懐疑的な見方を示し、支援体制が変化したといわれます。
それ以降、同社は「選択と集中」を旗印に掲げ、海外資産の売却や、外国企業との合弁解消、持ち株の放出などを実行し、「NZの牛乳事業」に焦点を当てて今に至ります。
同社は今回、「協同組合であるが故、原材料とフードサービス事業に集中し、消費者事業を放出することが、より価値を引き上げる」との見方を示しています。
戦略遂行能力が身についたのか実証する正念場に来たのかもしれません。(編集長)
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