湖城の窓から「内外から反対続く」

オーストラリアが生体羊の海上輸出を2028年に禁止すると決定したことについて、主要輸出先のクウェートからも反発の声が上がっています。

クウェートはオーストラリアにとって、生体羊の最大の輸出先であると同時に、中東最大級の穀物輸出先でもあります。小麦や大麦麦芽など年間100万トン、約4億豪ドル(1豪ドル=約104円)相当を輸出していますが、これが停止されるリスクがあるようです。

クウェートのアイバン商務相はオーストラリア政府宛に、「羊の禁輸は両国の友好な貿易関係の脅威となる可能性がある」との書簡を送ったと伝えられており、オーストラリア外務貿易省は、クウェート企業が生体羊貿易と穀物貿易を同一視し、片方を禁止した場合にもう一方も停止する意向があることを確認したといいます。禁輸に反対する国民党議員は「動物保護団体を満足させるためだけに、政府は数億ドル規模の危険を冒す」と批判しました。

これに対しワット農相は「輸出停止は国内問題であり、クウェートとは真摯に協力する」と反論しています。

一方、国内生産者からの禁輸反対の声も収まる気配を見せていません。西オーストラリア(WA)州パースでは数百台の大型トラックが路上に並び、政府に撤回をアピールしました。

来週にはキャンベラとWA州で、公聴会が開催される予定です。11年には無理やり導入した生体牛の輸出禁止を、わずか数週間で撤回した経緯もある労働党政権。しかも後に連邦裁判所が政府の決定は違法だったとしています。しばらくは今後の展開に注目です。(編集長・湖城修一)

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