湖城の窓から「ジレンマ」
オーストラリアの農業界は、気候変動問題にどう対応するのでしょうか。明確な回答が見えにくい問題です。
全国農業者連盟(NFF)は、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すという財界全体の目標を支持するとしていますが、付帯条件をつけています。それは「経済的に実行可能な方法が存在すること」と、「政府の方針が効果的かつ公平であり、農業界に不利益をもたらさないこと」の2つです。
農業界の排出といえば、家畜のゲップや穀物肥料が挙げられますが、これらの抜本的な解決策は今のところありません。家畜や肥料を削減するしか方法がなく、農業界に不利益をもたらし経済的にも実行は困難です。「(解決する)技術が存在しないのに、イデオロギー的な視点で進行するべきでない」としたリトルプラウド元農相の発言が、農業界を代弁していると言えます。
ただしNFF幹部は今年2月、自動車の排ガス規制の議論に際し「農業のブレーキとなる施策は、代替策がなければ受け入れ難い」とする一方で、「農業界が足手まといになりたくない」と述べています。
本質的な対策が見当たらない中でも圧力は強まっており、残された時間が少なくなっていることに農業界もジレンマを感じているようです。(編集長)
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