第61回 COEDOビールを豪州に、HTBのマニングさん

世界各地でクラフトビール人気が高まる中、先日シドニーで行われた埼玉県の観光・物産展で、川越市のコエドビール(COEDO)が出展された。コエドビールを製造販売するのは協同商事だが、ブースを構えていたのはメルボルンに拠点を置くクラフトビールの輸入販売会社で、COEDOをオーストラリアで輸入販売するへロン・タワー・ビバレッジズ(HTB)。HTBのビールコンサルタント、マニング・ブランチャード(Manning Blanchard)さんに話を聞いた。

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1998年設立のHTBはもともと、トニー・ベルという社名で英国のビールブランドをオーストラリアに輸入していたが、2008年に新役員を迎えて経営の軸をクラフトビールに移し、社名もHTBに変更。販売するビール探しを世界各地で始めたという。

その中で出会ったのがCOEDO。マニングさんによると、その時探していた「食事と合うよう作られたビール」に、COEDOがぴったりだったそうだ。オーストラリアでクラフトビールブームが起きる前の10年から、COEDOをオーストラリアに輸入している。

いわゆる観光地の地ビールから脱却し、「日本のクラフトビールの仕掛け人」とも呼ばれるCOEDOは1996年の設立で、もとは有機野菜に特化した産地直送商社という農業の会社だった。COEDOは小江戸で川越のこと。有効利用されていない地元農産品を活用しようとする試みから、名産品であるサツマイモを使った世界初のビール「紅赤(べにあか)」から始まり、06年からは、伽羅(きゃら)、瑠璃(るり)、白、漆黒、紅赤と、それぞれ個性的な味わいの全5銘柄の展開を開始した。

■狙うは「レストランビール」

COEDOと料理をどうやって合わせるのかをマニングさんに聞くと、すらすらと答えが返ってくる。ヒラマサのようなさっぱりとした魚には、さわやかですっきりとした瑠璃。脂の乗ったマグロやサーモンなど、味がやや強くなる魚料理には、ボディがしっかりめの伽羅。テリヤキチキンなどにはコクが豊かな紅赤、という具合だ。「ワインと同じように、料理の味とビールが互いを補完し合い、全体の味わいを高めていく」(マニングさん)のだという。

しかし、オーストラリアでは消費者のビール離れが叫ばれて久しい。その中でどうやってCOEDOを売り込んでいくのかと尋ねると、「(伝統的にビールを楽しむ場である)パブではなく、高級レストランで広げて行きたい」との答え。「オーストラリアにはパブ文化とワイン文化があるが、むしろワイン文化に近づけていく」方針で、料理に合ったビールを、トレーニングを受けたソムリエに聞きながら客がリストから選ぶイメージだという。特にオーストラリアでは、食材やスタイルなど、日本食の影響を受けるレストランが増えていることも、COEDOを取り扱ってもらうのに好都合だ。1本当たり14~15豪ドル(1豪ドル=約81円)という高めの価格設定もあり、同額で食事ができてしまう伝統的なパブでの展開には積極的ではない。

■日本食ブームを追い風に

COEDOは日本では、より広範な市場にアプローチするために他の醸造所とのコラボレーションなどを通じたマーケティングを展開しており、オーストラリアでも今後計画中だ。nehori2

オーストラリアでのCOEDOの売れ筋は紅赤で、「クラフトビールからレストランビールへの橋渡し役が期待できる」(マニングさん)という。レストランなど日本食市場が大きく、国内消費者の味覚が洗練されていく中、COEDOの繊細さは「今後大きな成長の可能性を秘めている」との見方だ。

HTBは現在、拡販に力を入れるニューサウスウェールズ州で輸入ブランド5種類を展開。最大市場のビクトリア州では12ブランドを担当する。「クラフトビール先進国」の米国出身のマニングさん。ちなみにCOEDOでのお気に入りトップ2は、紅赤と伽羅だそうだ。

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