第43回 日豪友好のワイン作り!ウインダウリ・エステートのペトリーナさん

シドニーから車で5時間西に向かうとニューサウスウェールズ州カウラに着く。第二次世界大戦時に起きた日本人捕虜の集団脱走事件で知られるが、日豪友好を深めるために設置された日本庭園も有名だ。その庭園で毎年行われる「桜祭り」で、桜のラベルが目立つ赤ワイン「ウインダウリ サクラ・シラーズ(Windowrie SAKURA Shiraz)」のブースが人気を集めていた。同ワインを生産するウインダウリ・エステートのペトリーナ・オデア(Petrina O'Dea)さんに話を聞いた。

15年前に販売を開始したサクラ・シラーズは日本でも、オーストラリアとニュージーランド(NZ)のワインや食材を輸入販売するヴァイアンドカンパニー(大阪府)を通じて販売されており「輸出前の事前予約で完売してしまう人気」(ペトリーナさん)だとか。ウインダウリは1987年の設立で、カウラ地区初のブティック・ワイナリー。昔は穀倉地帯だった同地域の面影を残す、1861年に建てられた製粉所(ミル)を改築してワインのセラー、テイスティングルームとして使用しており、製粉所そのままに「The Mill」と称したワインブランドが知られている。

創立者のデビッド・オデア氏と妻のウィズさんは1959年にウインダウリの土地を購入したが、当初は穀物を栽培しており、1980年代にブドウ栽培に切り替えた。今では夫妻の子どもである4人の兄妹がワイナリー経営の軸に成長し、ペトリーナさんはマーケティングの担当だ。しかし、「家族経営だから、結局あれこれやらされる『何でも屋』なのよ」とペトリーナさん。

ウインダウリはオーストラリアで厳しいオーガニック(有機)認証も受けており、ブドウ栽培はできる限り自然な形でがモットー。有機農業を学ぶため、宿泊と食事の提供を受ける代わりに労働力を提供するウーファー(WWOOFer)も受け入れていて、日本人ウーファーも多いそうだ。

■運命の出会い

ウインダウリが日本との強いつながりを持つようになったのは、日本での出会いがきっかけ。日本で行われたワインショーを訪れたペトリーナさんの兄が、ショーの後にビールを飲んでいたヴァイアンドカンパニーの唄淳二さんと出会ったことが始まりだ。一緒にビールを飲みながら、「オーストラリアのワインを探している」「日本の輸入業者を探している」と双方の思惑が一致したという。今でも非常に良い友人関係が続いているそうだ。

サクラ・シラーズは、カウラならではのワインを作ろうとする取り組みから誕生した。集団脱走事件で亡くなった日本人はカウラに埋葬されており、墓地から日本庭園までの道には桜が植えられている。この平和と日豪友好を象徴する景色が、サクラ・シラーズのラベルのモチーフだ。

■日本市場向けの新ワイン

実は現在、ウインダウリは唄淳二さんと協力して、日本限定の新ワインブランド「オーバー・ザ・レインボー」を開発中で、来年販売予定だ。保存料を使わない有機ワインで、レインボーは日豪の友好を象徴する。新ワインの開発に至った背景を聞くと、日豪経済連携協定(EPA)などの影響もあるが、何よりも日本市場で有機ワインの良さが認められてきたことがあるという。アジアでは赤ワインの人気が高いが、新ブランドでは赤(シラーズ)と白(シャルドネ)の両方を作る。白ワインが日本で浸透してきたことや、日本食には白ワインのほうが合わせやすいとの考えからだ。

日本のワイン市場はまだ成熟していないかとペトリーナさんに聞くと、「未成熟(inmature)だとは思わない」との答え。「ワインに興味のある人は本当によく知っている。後は興味の対象を広げるだけ」とか。「日本市場で自分が一番関心があるのは、食べ物とワインのマッチング。これまでワインと一緒に食べる習慣のなかった料理でも、ワインとの相性が良いことをアピールするのが楽しみ」だそうだ。

実はペトリーナさん、一家で唯一まだ日本に行ったことがない。来年早々には日本に赴き、ウーファーとして知り合った友人たちと再会するのを楽しみにしている。

投稿者プロフィール

公式SNSをフォロー