第28回 ユーカリ油をジェット燃料に
航空機用ジェット燃料で、石油由来の代替案としてバイオ燃料が脚光を浴びている。燃料としては、さまざまな植物が試行されているようだ。ここ豪州で注目されているのは、ユーカリから採れる油だ。
連邦政府系のフューチャー・ファーム・インダストリーズ・コーポレーティブ・リサーチ・センター(CRC)では、ユーカリの低木(Mallee tree)をジェット燃料に転換する研究が行われている。同研究には、ヴァージン航空やエアバス、エンジン製造のGEなども参加している。ユーカリのバイオマス1トンから190リットルのバイオ燃料製造が可能という。
焦点は""商業化できるかどうか""だ。CRCとクイーンズランド州に拠点を置くバイオシステムズ・エンジニアリングは共同で、ユーカリの低木から葉を収穫する収穫機を15年がかりで開発。ニューサウスウェールズ州北部カジノで行われた試験では、収穫速度が1時間当たり38トンで、74分継続することに成功。目標だった同20トンの1時間継続を超えた。
ユーカリ油の商業的な燃料化が実現すれば、土壌の塩類集積と浸水の影響を抑えるために広大な土地にユーカリが植林された西オーストラリア州の小麦地帯の農家にとっては、新たな収入源としても期待できる。経済的な研究によると、商業的な工場には、操業のために1万ヘクタールのユーカリの植林が必要になるという。
今後の課題としては、商業的な収穫機とバイオマス工場建設のための初期投資をいかに誘致するかのようだ。収穫機製造には1台につき100万豪ドル(約8,300万円)、工場建設には1カ所につき1億豪ドルがかかるとみられている。
「燃料」と「食糧」はどちらも生活に欠かせないもの。ユーカリは農場面積の10%未満での植林が推奨されている。地域レベルでみても全農場面積に占める割合は1%程度で、食糧生産への多大な影響はないようだ。トウモロコシからエタノールを採るものいいが、持続可能な視点から見れば、食糧や農地として競合しないユーカリの燃料化は、豪州では理にかなっているといえそうだ。
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