オセアニア農業の歩み「高タンパク市場に熱気」

今年の畜産・食品分野を振り返るキーワードは「高タンパク」でした。健康意識の高まりを背景に、高タンパク質食品への関心は一段と強まっています。世界的に牛肉需要が堅調に推移している背景にも、新鮮で栄養価の高いタンパク質源として牛肉を選ぶ消費者の動きがあるとみられます。赤身肉の摂取も増えており、オーストラリアの市場調査会社ポリネートは「鉄分とタンパク質を多く摂取したいという意識が強まっている」と分析しています。

乳製品分野でも高タンパク質ブームが需要を下支えしました。ヨーグルトでは、高度な加工でタンパク質含有量を高めた商品や、タンパク質がやや高く糖質が抑えられたギリシャヨーグルトが支持を集めています。来年も高タンパクを前面に打ち出した商品の投入が相次ぐとみられています。

健康志向の広がりは、低糖質で天然の電解質を含むココナツウオーターの人気にもつながっています。ココナツウオーターは国内で最も成長率の高い飲料カテゴリーの1つとされています。こうした中、主力ブランド「ココベラ」を擁するメルボルンの飲料メーカー、メイド・グループの売却が計画されています。同社を保有する米プライベートエクイティ(PE)大手TPGは、オーストラリアの消費財企業を高値で買収する日本企業に期待を寄せ、買収意向を探っています。

来年も食品分野の消費トレンドと、それを追う日系企業の動きに注目していきます。今年もご購読いただき、ありがとうございました。(本田歩)

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ウェルス編集部

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