湖城の窓から 「魚がいない?」
今回のトップ記事は、水産業を取り上げました。記事では養殖漁業の堅調さに触れていますが、一方の天然漁業は2021/22年度の生産高が前年度比2.7%減、今年度は増加するものの4%増と見劣りします。その理由は何でしょうか。
一つの回答として、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、オーストラリア海域から魚が少なくなった可能性を示しています。IPCCによると気温が産業革命当時から摂氏2度上昇すると、オーストラリアの漁獲高は最大10%減少し、5.2度上昇すると最大30%減少するそうです。オーストラリアでも海洋科学研究所(AIMS)が、1.5度の気温上昇でさえ漁獲に大きな打撃を与えると発表しています。水温が上がり温かい水が南に移動すると魚は大陸から離れていき、また水温が高いほど魚の成長が早まる一方で、結果として個体が小さくなる傾向があり、総漁獲高も減少するとしています。
さらに、豪海洋保護協会(AMCS)によると、すでに温暖化の影響が出ており、南オーストラリア州では数千トンの潜在的漁獲量が消滅したそうです。
昨今の燃料費の高騰で漁業の損益分岐点が上がり、船を出しても漁獲が一定以上なければこれまで以上に赤字になりやすいという話も聞かれます。気候変動の影響はさまざまな分野に現れています。(編集長)
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