地声人語・湖城の窓から- vol.518

【地声人語】

コロナ禍でトイレットペーパーが品薄になるのは有名な話ですが、近所のアジア系食料品店ではちょっとマニアックな食品の在庫が切れています。それは納豆。中国を中心に、今や納豆も立派に市民権を得てなくてはならない家庭の常備菜となっているようです。これからご近所さんとの納豆争奪戦が始まりそうで怖いです。(岩下)

コロナ禍で街中の人がいなくなるのは有名な話ですが、電車やバスでも車両に筆者1人だけ、という状況は珍しくありません。大変な事態でうんざりさせられますが、コロナ明けには乗客が戻ってくるのでしょうか。それを思うと、貸し切り状態に慣れてしまった身には、乗客との座席争奪戦が始まりそうで怖いです。(西嵐)

コロナ禍でマスク姿ばかりになるのは有名な話ですが、困るのは喫煙者。ただでさえ肩身が狭い今日この頃、マスクを外して吸っていると厳しい視線が注がれます。コロナが収束するのはまだ少し先になりそうな今、マスクか煙草か、口元争奪戦が始まりそうで怖いです。(尋助)

【湖城の窓から】

「危機感」

業績好調なニュージーランド(NZ)のキウイフルーツ最大手ゼスプリですが、頭を悩ませているのが中国での違法栽培です。黄色の品種サンゴールドの人気が高まるにつれ、2019年後半から中国の違法栽培は拡大し、今では農地の規模は5,500ヘクタールを超えると言われています。

ゼスプリはこれまでに、対応策として中国の栽培者と協力し現地で試験栽培に取り組むという案を発表しました。違法栽培の拡大で知的財産(IP)を失うだけでなく、市場でゼスプリの存在感が薄れ品種のコントロールが出来なくなるとの懸念から、自社で販路を押さえてしまうという戦略です。しかしこの案は、農家らがリスクが高すぎると拒否。同社は別の方法を検討しています。

そんな中、キウイの接ぎ木を中国に密輸しようとしたNZ在住中国人に対し、NZ高裁は1,200万NZドル(1NZドル=約78円)の損害賠償を命じました。犯人側の、ゼスプリに現実的な損害はなかったという主張は退けられ、3件の告発はすべてゼスプリを支持する判決となりました。ゼスプリはこの問題のために幹部社員も中国に飛び、私立探偵を雇って中国農場の探査もしたそう。同社は違法中国産の増加でNZ産は駆逐され、数十億ドル規模の損害が出かねないと危機感を持ち、あらゆる手段を取るとしています。

イチゴやブドウなどでは、日本で開発された品種が中国や韓国に流出し、日本農家の競合となっています。日本の高裁も政界も、強烈な危機感を持ってもらいたいものです。

(編集長)

【ウェルスのトリビア 〜今週の紙面から〜】

飲料大手キリン傘下のライオンが買収した醸造企業ファーメンタム。この企業はクラフトビールと、ある種類のお酒で有名です。微炭酸アルコールのそのお酒とは何でしょうか?(答えは記事中に)