第6回 粉ミルク、豪では購入制限

オーストラリアのスーパーマーケット最大手ウールワースが粉ミルクの購入で中国人を差別しているとして、オーストラリアに住む中国人の母親らの間で論争が起きた。問題となった差別とは、ウールワースの店舗で商品棚に掲げられた粉ミルクの購入制限の表示。中国語で書かれたものには「来店1回当たり1人2缶まで」とある一方、英文表示では「1人4缶まで」と2缶多く書かれているという。

中国紙「環球時報」によると、ウールワースは批判に対して「顧客への対応を差別している訳ではない」と強調し、「一部の店舗が、購入制限の告知で誤った表示したことについておわびする。表示は撤去する」と謝罪した。ただ、店舗側にも、中国人の買い占めを抑える措置を採らざるを得ない現実がある。

オーストラリアではここ数年、同国に滞在する華僑や中国人留学生などが粉ミルクを買い占め、中国市場向けに売りさばいていることが問題となっている。中国人観光客による大量買いなどもあり、オーストラリアの都市部スーパーでは、とりわけ昨年秋ごろから粉ミルクが品薄で、地元の母親らが十分な粉ミルクを手に入れることができない事態に発展した。

■バイヤーはどこ吹く風

批判を受けて、ウールワースとコールズは11月、粉ミルクの購入制限を二度にわたり厳格化。ウールワースは、来店1回当たりの購入数を最初は1人8缶としていたが、二度目には4缶に数を減らした。コールスも最初は4缶、2度目は2缶に制限した。同2社は、英語に加えて中国語でも購入制限を表示しており、措置が中国人を意識したものであることは明らかだ。

それでも中国人バイヤーらはあきらめない。粉ミルクを購入した後に再び来店、または2度目以降は別の人に購入を代行してもらうなど、あらゆる手段で粉ミルクの入手を図る。オーストラリアの母親らからは「このような行為は許されない」「誰がどれだけ購入したのか記録すべき」などと、さらなる規制強化を求める声も出ている。

■何が何でも海外産

中国で海外産粉ミルクの需要が急増している理由は、中国で2008年に起きた、粉ミルクメーカー、三鹿集団による有害物質メラミン混入事件が発端だ。その後も他社製品からメラミンが検出されたほか、山東省の同業、聖元が製造した粉ミルクを飲んだ乳幼児に性早熟症状が出たことが発覚。問題は後を絶たず、中国の母親らはわが子に少しでも安全な粉ミルクを与えようと必死になった。

メラミン事件以降、中国市場での海外メーカーの粉ミルク販売量は急速に拡大。ネット通販で製品を入手する人が増え、海外に住む親せきや友人らに代理購入を依頼する人も急増した。

アジアや欧米などでは中国人による粉ミルクの「爆買い」が話題だが、香港では13年から、中国人旅行客が持ち帰りできる粉ミルクの数を制限。ニュージーランド、ドイツ、英国などでも各スーパーが中国人の粉ミルク購入に制限を設けているとされる。

「中国人が世界の粉ミルクを買い占めている」というのは、定着した事実となった。

 

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